私たちの保育園では、「石井式漢字教育」を取り入れた保育を実践しています。
それは、「社会の中で実際に使われている文字=漢字」から言葉に触れることが、子供たちの言語力をより自然に、深く育てると考えるからです。
■「ひらがな」だけの世界は、現実には存在しない
日常生活を見回してみてください。新聞、道路標識、商品のラベル、レストランのメニュー… ほとんどの情報は漢字を中心に構成されています。
ひらがなやカタカナだけで書かれた文章は、例外的であり、デザイン的な演出や幼児向けの絵本の中に限られます。つまり、「ひらがなだけの言語環境」で育つことは、社会との接続を遅らせてしまうおそれがあります。
実際に、文部科学省の調査(平成29年度「国語に関する世論調査」)でも、読みにくい文章として多くの人が「漢字が使われていない文章(ひらがなだけ)」を挙げています。
また、2012年に行われた東京大学大学院教育学研究科の藤井幸之助氏の研究でも、「文章内の漢字表記が読み手の理解力や集中力に与える影響」が定量的に示されています。藤井氏は、適切に漢字が交じった文章の方が、認知負荷が減り、意味の把握も速くなると結論づけています。
■「文字を絵として認識する力」=幼児期ならではの特性
石井式では、「漢字」をまず視覚的な“絵”として捉え、そこに意味を結びつけるところから始まります。
子供たちは文字の意味と音をセットで覚え、ひらがなを後回しにしても、「読む」「書く」「理解する」力が自然と身についていきます。
この考え方は、国立国語研究所の三宅和子氏(2007)による、「前言語期の子供における意味記号の理解」でも裏付けられています。三宅氏は、幼児は意味のある形(=漢字)を、ひらがなよりも早く識別しやすいことを報告しています。これは、言葉を「意味と形の結びつき」で捉えようとする石井式の理念と一致しています。
■「子供だからこそ、漢字から」が自然な順番
石井式の特徴は、「漢字は難しいもの」という大人の思い込みを取り払うことにあります。
社会の言語環境に合わせて、子供たちに本物の文字文化を届けること。それは、早期教育の是非とは別次元の、「生活と言葉のつながり」を大切にするアプローチです。
保育園という場だからこそ、「無理なく、楽しく、社会につながる」言葉の教育ができます。
そして、子供たちはその中で、読むこと・聞くこと・話すこと・書くことがつながった、実践的な言葉の力を育んでいくのです。
おわりに
私たちの保育園では、石井式漢字教育を通じて、子供たちが社会の中で自分の言葉を持ち、自信をもって表現できる未来を支えていきたいと願っています。


